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◆ 前作のあらすじ(巴武蔵語る)
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よう!オイラ、巴武蔵!
ゲッターチーム、ベアー号・ゲッター3のパイロットだぜ!
…とはいっても、オイラはこのsuper robot wars alpha gaiden another storyには
でてこないんだよね〜、トホホ。
…っていうか、この小説を書くのに元にしたゲーム版・スーパーロボット大戦α外伝じゃ
オイラちゃんと生きてるんだけど、この話では既に死んでることになってるんだ。
何でかって?
…じゃあ、今からオイラがそのときの話をするよ。
getter robot another storyの方を読んでくれたら、もっとよくわかるけどさ。
手短に話すことにするよ。

オイラたち、早乙女研究所ゲッターチームの宿敵、それは…
地下に潜む、トカゲ野郎ども…「ハ虫人」たち、恐竜帝国だ。
「ハ虫人」は、ゲッター線っていうのに弱いのさ。
このゲッター線ってのは、空から降ってくる宇宙線の一種で、
俺たち「人間」にとっちゃ無公害エネルギーになる、まさに夢の物質なワケ。
だけど、やつら「ハ虫人」はそれに当たると死んじまうんだ。
だから、奴らは…その、ゲッター線の研究をしている早乙女研究所をつぶそうとしてきたんだ。
俺たちゲッターチームは、「ゲッターロボ」という
ゲッター線を使ったスーパーロボットで、
そいつらの繰り出してくる「メカザウルス」っていう、恐竜を改造したロボットと戦ってきたんだ!

だけど、あいつらは…とんでもない奴らだった。
冷血野郎のトカゲどもは、オイラたちを倒すために、とんでもない手段まで使ってきやがったんだ…!
ある時の事だった。地上にあらわれたメカザウルスを倒すため、オイラたちゲッターチームは出撃した。
だけど、そのメカザウルスのパイロット、それは…「リョウ」だったんだ!
いや、正確には、オイラたちゲッターチームのリーダー・リョウのクローン…
それも、女だったんだ!…女性型のクローンって奴か?
そいつは「エルレーン」と名乗った。
自分は「ゲッターロボを破壊し、ゲッターチームを抹殺するために造られた」リョウのクローンだと。
…エルレーンは、正直オイラたちよりはるかに強かった。
オイラたちは何回もあいつと戦ったけど、その一回だって勝ったことなかったよ〜、情けねぇけど。
…だけど、妙なことがあった。
…あいつは、なんとちょくちょく地上に出て、オイラたちに自分から近づいてきやがったんだ!
そりゃあ驚いたさ。
それに腹もたったよ…オイラたちをおちょくってんのか、ってね。
けれど、あいつは…すぐ泣くし、ふんわかふわふわしてて、とてもリョウのクローンとは思えないほど天然ボケだった。
ふにゃあっとしたカオして、「○○って、なあに?」ってな具合にさ。
まるで、子どもみたいな女の子。
だから、オイラたち…なんだか、あいつに怒れなくなってった。
そして、オイラたちもそのうち知ることになる。
恐竜帝国で、あいつは…「兵器」として扱われてる、ってこと。
「ハ虫人」たちに、冷酷に扱われてる、ってこと…
それに。
何より残酷だったのは…エルレーンは生まれつき、半年しか生きられないっていうことだった。
だから、オイラたちはそのうち…あいつを、自分たちゲッターチームの側につくよう、説得しようと考えるようになった。
最初のうちは、リョウが…エルレーンを死ぬほど大嫌いだったリョウが、めちゃくちゃ反対してたから、それもできなかったけど…
何でか知らないけど、ある時を境にころっとリョウも変わった。
エルレーンを救いたい、って思うようになったみたいだ。
だからオイラたちは、エルレーンを恐竜帝国から助け出すことがこれで出来る、って思ったんだ…
…けれど。
それは、うまくいかなかった。
それもこれも、皆オイラたちのせいだった。
あれは、いつの頃だったか…そうだ、夏の終わりごろだった。
オイラたちは、開発中のゲッター線発電所を破壊したメカザウルスと戦って…何とか勝てたんだ。
だけど、それが終わりだった。
その、メカザウルスに乗っていた、恐竜帝国のキャプテンは…エルレーンの、たった一人の…「ハ虫人」の、誰よりも大事な「トモダチ」だったんだ!
あいつの大切な人を、オイラたちは知らなかったこととはいえ、殺しちまった…!
だから…エルレーンは、壊れちまった。オイラたちを本気で殺しにかかってくるようになった。
だけど、本当にそうなってれば…もっと、よかっただろうに!
そのくせ、あいつは!…あいつは、オイラたちのことも…オイラたちのことも、好きになってくれて…
そのジレンマに、耐えられなかったのかもしれない。
…エルレーンは、自殺までしようとした…
結局、あいつとオイラたちは戦場で戦うことに…
その戦いの最後、あいつは…脱出ポッドで、リョウのイーグル号に特攻かけやがったんだ…
リョウを「連れて行く」、道連れにして、死のうと。
その結果、イーグル号は大破した…でも、リョウは無事だった。
意識不明のままかつぎ込まれた病院で、オイラたちは…リョウがそれまでずっと隠してきた「秘密」を知ることになった。
エルレーンは、リョウの「女性型」クローンじゃなかった。
正真正銘、リョウのコピーだった、ってこと…
リョウは、「女」だったんだ。
リョウが自分で話してくれたことによると、何でも実家の親父さんが「剣道道場の後継ぎが欲しかったから」、「女」に生まれたはずのリョウを「男」として育てることにしたんだそうだ。
…まったく、とんでもねぇ親父さんだなホント。
でも、リョウはそれでいいと思っているみたいだ。これからも「男」として生きていく、って…
オイラたちも、別にそれでいいと思った。だから、それはそれで終わった。
でも、リョウの心の傷はいえなかった…
あいつは、エルレーンを、自分の分身を救えなかったことで、どこまでも傷ついていた…
だけど、そいつはオイラたちだって同じだ。
…哀しかったよ。結局、オイラたちはあいつに何もしてやれなかった、って思った…
…けど、奇跡は起きたんだ…!
その戦いから数日後だった。満月の夜…オイラたちがお茶してたときだった。
いきなり、リョウの奴が卒倒しちまったんだ!
だけどさあ、またすぐにがばっ、て起き出して…そんで、「自分はエルレーンだ」って言ったんだよ!
…信じられないけど!…あいつの「魂」は、あいつの「精神」だけは!
…同じモノの、リョウの身体の中に、取り込まれちまってたらしいんだ!
喜んだね、オイラたち。
何しろ、死んじまったって思ってたエルレーンの奴が、こんな形とはいえ…生きてたんだもの!
あいつは、「リョウが自分を助けてくれた」といい、「だから、リョウを助けたい」といって…オイラたちに、恐竜帝国を倒すための力添えを申し出てくれたんだ。
…だけど。あいつは、こんなことも言ったんだ。
「自分のことを、リョウには決して言うな」って。
オイラはおかしいと思った。一番エルレーンのことを気に病んでたリョウに、何で教えてやれないのかって。
だけどあいつは、ただ泣いて…「リョウには私の声が聞こえない…きっと、私のことがじゃまなんだ!」って言うだけ。
おかしなことだけどよ…エルレーンが自分の中にいることを、リョウはまったく気がつかないんだ。
エルレーンは、自分のことを気づいてほしくて、リョウに何度も何度も叫んだらしい。
でも、その声は届かなかった。
…おかしいよな?
…だってよ、あいつら…二人だったときには、まるで「双子」みたいによ、お互いの気持ちを分かり合ってたんだぜ?
それが、一つの身体に一緒になった途端に…
だから、エルレーンは、絶望しちまったんだろうな…自分自身に。
…まあ、それはともかく、だ。
エルレーンの情報で、オイラたちは恐竜帝国の本拠地、恐竜帝国マシーンランドがマグマ層にいることを知った。
そして、そいつを見つけるために「ゲッター線ソナー」を造ってよ、そこに攻撃しかけたんだ!
マシーンランドを、オイラたちは破壊した…!
…でも、それが終わりじゃ、なかったんだ…!
燃えるマシーンランド。そこからあらわれたのは…とてつもなくでっかい、メカザウルスだった!
無敵戦艦ダイ、っていうらしいそのメカザウルスに、オイラたちはまったく刃がたたなかった…
あの野郎は、東京湾へやってきて…そこに前線基地まで造り出しやがった!
そのダイの倒し方を教えてくれたのも、エルレーンだった。
その弱点は、口。その中へ爆弾を放り込んでしまえばいい、って…!
早乙女博士はそれを聞いて、「三段式ゲッターロケット弾」ってのを造った。
ゲットマシンそれぞれにロケット弾の部品をくっつけて、それを合体させて…ダイにぶち込もう、って言う作戦だ。
………。
…ん、ごめん…
ちょ、ちょっと…やっぱり、思い出しちまうな。
この作戦…な、実は…オイラのせいで、失敗したんだ。
オイラが操縦をミスったせいで、ゲッターロケット弾は合体できなかった。
その上、オイラたちのゲットマシンは、三機ともすべて撃墜されちまったんだ…!
オイラのせいだった。
だから、オイラは…最後に残ったたった一機、でっかいミサイルくくりつけたコマンドマシンに乗って、ダイをぶっつぶすために出撃したんだ…!
だけど、土壇場で…コマンドマシンは銃撃を受けたせいか、エンジントラブルに…その上、ミサイルの発射装置までイカレやがった!
それで、俺は…コマンドマシンで無敵戦艦ダイに突っ込んでったんだ…
別に、こうなったらもう破れかぶれだ、って。
それは、何とかうまいこといったみたいだ。
無敵戦艦ダイをぶっ壊すことに成功したってワケ…!
…ま、オイラは死んじゃったんだけどさあ、あはは!

オイラは、恐竜帝国をこれでぶっ潰した、って思い込んでた。
いや、オイラだけじゃなく…リョウやハヤト、ミチルさん、早乙女博士だってそう思ってたんだ。
…それに、エルレーンの奴も。
あいつは、恐竜帝国が滅んだと思ったら…いきなり、ハヤトたちに「さようなら」をいいやがった。
…恐竜帝国のいない今、もう自分の記憶が…自分が必要となることもないだろう、ってさ。
…それっきり、あいつは…もう目覚めない。リョウの中で眠ったまんまさ。

…だいたい、こんなカンジ…かな。
でもさあ、どうせなら、getter robot another storyの方を読んでみてくれよな。
オイラの最後にカッコイイところとかもあるしさ!
…それに。
最初のうちは、全然出てこないんだけど…「ある人」が、また出てくるんだ。
この間、話したことある人なんだけど。
それに、さ。
エルレーンの奴が、昔どんなだったかを知っとくのも、悪くないと思うぜ。
…あいつは、「強くて、もろい」奴だった。
確かにあいつは強い女だ。
兵器」として造られたってだけあって、戦闘のセンスも格闘技も、オイラたちよりずっと上…
でも。
あいつは、もろい。
…あいつの「トモダチ」が死んでからは、特にそうだった。
「ひとりぼっちはいや」っていって、泣き叫んで…挙句の果てに、手首まで切って…
…だけど、そのくせに。
そのくせに、あいつは簡単に「敵」を殺す。あっさりと殺す。
早乙女研究所に「ハ虫人」のスパイが入り込んでたことがあったんだけど…そのスパイを、あいつは問答無用で斬り殺した。
…アンバランスなんだ。
…だけど、オイラは思うんだ…
もし、エルレーンがオイラたちみたいな「人間」の中で暮らしていければ…
あいつ、きっと変わるって。
いろんな仲間、…そう、俺たちゲッターチームだけじゃない、他の仲間たちと触れ合う中で…
あいつは、きっと変わっていくだろう。
どういうふうに変わっていくか、それを知るためにも…
それに。
その、「あの人」とエルレーンは、生きている間にいくつかの「約束」をしてたみたいなんだ。
その「約束」…この話の中で、きっと出てくるよ。

…さ、これでオイラの話はおしまい。
それじゃあ、オイラはそろそろ行くよ。
この「全てのイキモノの行く場所」から、また出て行く時が来たみたいだ。
…リョウやハヤト、それにエルレーン…あいつらのことは、ちょっと心配だけど…
でも、もう大丈夫だよな?

だって、これからは、あんたが見守っててくれるんだから。

頼むよ、あいつらのこと。
エルレーンのこと。
見守っててやってくれな。

…なーんだ、そんなしめっぽい顔しないでくれよ〜!
せっかくの旅立ちなんだからさあ!
それじゃな〜!また、どっかで会おうぜ!
…そんとき、聞かせてくれよな!
エルレーンや、リョウたちが…一体どんなことになったのか、をさあ…!


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