ドイツ語アルファベットで30のお題
〜マジンガー三悪編〜


"P"--das Paradies(楽園)



天国は、光り輝く素晴らしい場所であるという。
何の苦しみもない、理想郷だという。
誰もが幸福で、傷つかず、平和に暮らすことができる、神の愛に満ちあふれた場所だと―

その国へ行く資格を俺が失ってから、とうに十数年がすぎた。
俺は相変わらず、死ぬこともなく生きている―
この世界を憎みながら、そしてこの世界を創った神を憎みながら、俺は―今でも、生きている。

清らかな魂のみがその場所に続く門をくぐりぬけることができるという、その天の国。
お前は今、確かにそこにいるはずなのだと俺は信じる。





ラウラ。
天国は、そんなにいい場所なのか?
この地上より、俺のいるこの場所よりも、ずっといい場所だというのか?
俺のもとへ帰ってくる気など、微塵も起こらないくらいに―





それなら、それでいい。
お前には、しあわせでいてほしいから。
今の俺は、すっかり闇に染まってしまった―
清らかなお前とは、釣り合うことなどとても出来ないほどに。
だから、せめて…お前のしあわせを望む事ぐらいはさせてほしい、
そのくらいしか、今の俺にはお前にしてやれることが無い。








地上を見下ろすな、ラウラ。
その光あふれる美しい世界から地上を見下ろすな、ラウラ―
見るな、その瞳に映さないでくれ、
この醜い、矛盾に満ちあふれた場所を―








見るな、その瞳に映さないでくれ
変わり果ててしまった俺を、邪悪で薄汚れてしまった、「バケモノ」の俺を









マジンガー三悪ショートストーリーズ・"Zwei silberne Ringe, ewige Liebesbande"より。
その後の物語、ミヒャエルの独白。