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◆ 何故リョウを「女性」にしたのか?
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何故リョウを女性にしたのか、ということについて書いておきます。
こうすることについては、ちょっと悩んだんですが…

大きな理由としては、
「エルレーンの精神がリョウの中に取り込まれ、
時折彼の身体を乗っ取って、彼女自身として行動する」という状況

話を書くはじめのうちから設定していたからです。
クローンは、別に性染色体の組み合わせを変えようとも作成できるのですが、
この状況を考えると、さすがに…リョウとエルレーンが同性でないと、キツイ(笑)
エルレーンが女性であることはもう決定事項でしたので。
(これは、彼女のキャラクターづくりに多大な影響を受けているのが、
「ワンダープロジェクトJ2」というゲームの「ジョゼット」という「少女」のキャラだったせいです)

それ以外にも、「女性」というファクターを利用してこのような解釈が出来るゆえに、この設定を利用しています。

「女性」とは、「母親」になるべくして特化した存在です。
「母親」とは、「子ども」を己の身の中である一定期間育てるもの…(「人間」は、ですよ)
「母親」にとって「子ども」とは、「自分自身」であり、「別人(異物)」でもあります。
よく知られた事実ですが、母胎において、「母親」と「子ども」の血液は同じではありません。
血管は独立しているのです。ですから、血は混じりあうことがないのです。
ですが、臍帯(へそのお)は確かに「母親」の肉であり、それは「子ども」とつながっている…
つながっているから同じモノであり、そして混じりあわない別のモノ。
そして、悪阻(つわり)という…その「異物」に対する強烈な「拒絶反応」が出ることもご存知でせう。
この事実は、「別人(異物)」を「自分自身」の中に入れる際に、どれくらいの難しさがあるか…
「母親」にとって「子ども」が「別人(異物)」であることを示すかのようです。
守り、愛し…だが、「子ども」自身を飲み込んでしまう、同化してしまう力を持つもの。
「別人(異物)」となったモノを、再び「自分自身」として取り込む力を持つもの…
「母親」。…ユングの言う「グレートマザー」の面です。
<何故リョウがエルレーンの精神を取り込んだか(取り込むことが出来たか)?>

また、「人形」の思想というのも関連してきます。
エルレーンに「自分の理想とする女性像」を具現化する「人形」の思想をあてはめる。
それは、リョウも無意識のうちに…
「巨人の星」の、星一徹と星飛雄馬の関係のようなものです(ただ、こちらは意図的です)。
適応機制のうちの一つ、「自分にないモノ・自分の理想を他者に託して同一視する」…「代償」です。
当然、そこには反抗が起こります。
何故なら、彼女は「人形」ではないのですから。
<エルレーンとリョウ、同じモノでありながら、違うモノ>

そして、最後に。
生命体としてみた場合、「男性」よりも、はるかに「女性」のほうが
強い生命力を一般的に持っているからです。
そして、子を為し育てるという性質からか、
「自己保存」のための本能…「生存本能」がより強いのではないか、といわれています。
「生存本能」とはすなわち、自分の身を守ろう、生きのびようとする強い衝動。
その衝動は、向きを変えれば…
「邪魔をするならば他者でも押しのけ、消してやる」という、攻撃性になります。
<何故リョウがクローン兵器のオリジナルとして選ばれたのか?>

…だから、妙な意図があったわけではなく、当方はごく真剣ですよ(笑)


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