--------------------------------------------------
◆ His Monologue〜Nobody hears, Nobody knows〜
--------------------------------------------------
…ルーガ先生。

私は、わからなくなりました。
私は、恐竜帝国の剣。恐竜帝国の楯。
我が友を守り、我が国を守り、我が帝王を守る、それが龍騎士(ドラゴン・ナイト)…
その誓いを胸に、私は今まで戦ってきました。
ああ、ですが―
私は、惑っています。

あの小娘は、あなたを殺したあの小娘は、
あの忌まわしい憎らしい妬ましい怨めしい「人間」の小娘は…
あの小娘も、龍騎士(ドラゴン・ナイト)なのでしょうか―
私と、同じくして。

あなたが授けた恐竜剣法で、あれは戦ってみせた。
まるで、あなたのように美しく、そして強く。
「人間」のくせに、「ハ虫人」の私と同じほどに―
いや、悪ければ、もっと―我々の剣法、恐竜剣法を会得して。
私は、憎みました。
忌まわしかった、憎らしかった、妬ましかった、怨めしかった。
あなたを私たちから奪ったくせに、恐竜剣法すら掠め取っていった、あの小娘が。
我々の「兵器」として造られた分際で、我々を裏切り、
「人間」のもとに走っていった、あのNo.39が。

…だが。
あの小娘を、寝返らせたのは…もしかして、我々「ハ虫人」の責なのではないか?
私は、そう思ったのです。
あの小娘の戦歴を、記録映像の中に見ました。
製造されて、わずか6ヶ月。
その短い時間に、ゲッターチームを追い詰め、武器を破壊し…ゲットマシンの1個すら破壊した。
それほどまでに戦果を上げた有能なキャプテンが、そうそういるでしょうか?
…にもかかわらず。
恐竜帝国では、誰もあの小娘の英雄譚を語らない。
あの小娘の英雄譚を、誰も認めようとしない。
いや、それどころか…あの小娘の「名前」すら、誰も知ろうとしない!


「名前」すら呼ばないくせに、それでも我々のために戦って、死ねと―!


それほどまでに残酷な仕打ちを強いた我々が
果たしてあれを責められるというのでしょうか?
自分をより「仲間」として扱ってくれる、「人間」側に転んだからといって―

ルーガ先生。
ですが、私はどうしても許せないのです。
あなたを奪ったあのNo.39が、どうしても許せないのです。
喉元奥深くでぐつぐつと煮えたぎるように澱んでいる、
吐き気がするほどの怒りが、いまだに私の中にあるのです。
あの小娘さえいなければ、あの「兵器」さえいなければ、
あの「兵器」さえ生きていなければ、
おそらくあなたは死ななかったでしょうから―!


許せないけれども、許したくもあるのです
あの小娘の苦悩をも理解してしまったが故に!
許したいけれども、許せなくもあるのです
あの小娘があなたを奪い去ったが故に!


私は、私は、どうすればいいのですか…?
ルーガ先生、教えて下さい
私に教えて下さい
私は、どうすればよかったのでしょうか?
私は、どうすればいいのでしょうか?
私は、どうしたら―





back