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◆ 融合fatalfusion
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『おまたせ、エルレーン…』
『!…エルシオン?』
『うふふ、じゃあ、はじめよ…?』

Requiem aeternam dona ei, Domine:
永遠の安息を彼女に与えたまえ、主よ。

『?!…エルシオンッ?!か、身体が…?!』
『おまえ、いったじゃないか。もういっこの<やくそく>も、まもってくれるって』
『え…?!』
『エルレーン…おまえは、』

et lux perpetua luceat ei.
絶えることのない光を彼女の上に照らしたまえ。

『おまえは、ずっとおれのそばにいてくれるんだよな…?』
『…!』
『ずうっと、おれといっしょにいてくれるんだよな…?!』
『そ、そうだけど!…ど、どうして?!どうして、こんなこと…』
『エルレーン。…おまえは、おれに…やさしくしてくれた。だきしめてくれた。…おまえは、おれに、<なまえ>をくれた…!』
『エルシオン…?!』
『だから、これは…そのれいだよ、エルレーン…ふふ、おまえ、おとこじゃないから、おれから<きす>されても…うれしくないだろ?』
『え…?!』
『だから、おまえにあげる。おれのぜんぶを、おまえにあげる…!』
『え、エルシオン!』
『おれのからだも、おれのちからも。みんな、みんな、おまえにあげる』
『だ、だめだよ、エルシオンッ!消えちゃダメ…ッ!』
『うふふ…ばかだな、エルレーン。…おれは、きえるんじゃないんだぜ』
『え…?!』
『おれと、おまえは、おなじモノ…だから、ひとつになるんだ』
『…?!』
『おれは、おまえのなかにとけて、ひとつになるんだ…おれは、おまえに<かえる>んだ…!』
『あ…』
『な…エルレーン、いいだろ…?おれと、ずうっといっしょにいてよ。おれのこと、おいてかないで』
『…で、でも、エルシオン…本当に、それで、いいの…?だって、私…』
『ああ、いいんだ…よわいおれなんかより、ずうっとずうっとつよいおまえのほうが…きっと、あいつらをまもれるだろうから。
だから、このからだは…おれなんかより、おまえのものになるべきなんだ』
『で、でも…』
『そうしたら。…そうしたら、みんな…おれのこと、すきになってくれる…』
『え…?!』
『だって、みんな…おまえのことが、すきだから。
だから、おまえになれば…みんながおれをみとめてくれる、おれをすきでいてくれる…』
『…』
『…そうすれば、おれは…もう、ひとりぼっちじゃなくなる。…ティファたちとも、いっしょにいられる』
『!』
『そしたら…おれ、あいつらを…まもってやれる。
おれにやさしくしてくれた、おれをみてくれた…だいじな、<トモダチ>の、あいつらを』
『…』
『おまえになって。おれより、ずうっとずうっとつよい、おまえになって。おれは、あいつらをまもるんだ…』
『エルシオン…』
『そうだ…ロウのこと、…たのむな。あいつは、きっとおまえたちをまもってくれる…』
『うん…わかってるよ。…あの子は、いい子だもの…』
『あたりまえだろ、だってあいつは…おれの、<トモダチ>なんだから…!』
『…ふふ…!』

Te decet hymnus, Deus in Sion
シオンにては主に聖歌を捧げ、

『…ん…』
『エルシオン…苦しい、の…?』
『ううん…くるしくない。ぜんぜん、そんなことない…へへ、だ、だけど…だんだん、いしきが、ぼーっとしてきちまった、だけ…』
『…』
『…なあ、もっと、ぎゅうっ、てして。おれのこと、だきしめていて』
『…エルシオン…』
『おれ…うまれてきて、よかったって、おもう…くるしかった、かなしかった、けど…けれど、おれ、おまえたちにあえた、から』
『…』
『あのおっさんに…ティファ、ガロード、ジロン、チル。…ながれりょうま、ゲッターチーム…ふふ、それに…おまえ』
『…』
『なんだか、ふしぎなきぶんだ。ふふ、…おれ、きっと、こうなるためにうまれてきたのかもしれないって…そんなきが、するんだ…』
『エルシオン…』
『こうやって、またひとつに。おなじモノだから、ひとつに<かえる>んだ。…そしたら、もう…おれ、ひとりぼっちに、ならないんだ…』
『…そうだね、私とあなた…もう、はなればなれにならないの。私、あなたをひとりにしない…』
『ふふ…!』
『ん…あったかい…おまえ、…あったかくて、きもちいいな…』
『<人間>だから、あったかいんだよ…』
『…<にんげん>、だから…?』
『うん…』
『ふふ…そうかあ…そうなんだ…!』
『…』
『エルレーン、おまえ…しってるか…?』
『何を…?』
『…<こうしてずうっとつながってるんだ、だれかがいなくなっちゃあかなしいもんね。
だいじななかまだもん、なくさないように、ずうっとつながってようね>…』
『…?』
『だれかが、いなくなったら、かなしいから…こうやって、つながってなきゃいけないんだ…』
『…』
『へへ、やっぱり…ひとりぼっちなんかより、…こっちのほうが、ずうっとずうっといい…!』
『うん…そうだよね、エルシオン…』
『ああ、エルレーン…』
『…』
『おれ、ずうっとずうっと、エルレーンといっしょにいるよ…』
『うん…!』
『ずうっとずうっと、つながってるんだ…ねえ、おれのこと、なくさないように、ずうっとつながっていて…』
『…』

et tibi redetur votum in Jerusalem.
そして、エルサレムにては祈りを捧げまつる。

『…』
『エルシオン…』
『…』
『…』
『…なんで、そんな、かお、…するんだよ、エルレーン…』
『だ…だって、…だって、エルシオン、もう、身体が、身体が、なくなって…!』
『いたくも、ないよ。かなしくも、ない』
『で…でも!…もう、ぎゅうっ、てしてあげることも、できない…!』
『…ううん、おまえは…おれを、だきしめて、くれてる。…いまも』
『!』
『おれ…とけてく。おまえのなかにとけてく。だから…おれのぜんぶを、おまえが、ぎゅうっ、てしてくれてるんだよ…!』
『…』
『…あ。…みえる…』
『…何が、見える…の?』
『…おまえの、きおくが…おもいで、が、みえる…』
『…!』
『ああ…わかる、…わかる…ながれりょうま、じんはやと、…ともえむさし。…さおとめみちる、さおとめはかせ…』
『…』
『ていおう、ゴール…そして、あれが<キャプテン・ルーガ>…!』
『…』
『…ああ…おれ、かんじる…おまえの、きおく…おまえを、…かんじる…』
『エルシオン…!』
『エルレーン…おれ、も、おまえを、おまえの…』
『な…何?…何が、言いたいの…?!』
『…ああ…!』
『…!!』
『…おれは…<エルシオン>、…そして…』

Exaudi orationem eam!
彼女の願いを聞きいれたまえ!

『…<エルレーン>…!』

Requiem aeternam dona ei, Domine:
永遠の安息を彼女に与えたまえ、主よ。

『!!』

et lux perpetua luceat ei.
絶えることのない光を彼女の上に照らしたまえ。

『…』

『…エルシオン…』

『!…あ…』
<…ふふ…そうだ、エルレーン…>
『…そう、…そうなのね、…エルシオン』
<ああ…>
『…』
<そして、おれは、もう…『エルレーン』…>
『…エルシオン…いっしょだよ』
<…ああ…>
『ずうっと、いっしょにいてあげる…私がいっしょにいてあげる…』
<…>
『…そうだよ、エルシオン…!』

...et...
そして…

『いっしょに行こう…エルシオン。…リョウといっしょに、ハヤト君と一緒に、ベンケイ君と一緒に、…みんなと、いっしょに…!』




ad te omnis caro veniet. 全ての肉は、主の御元に参ります。





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