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恋愛小説「パソコンと私。」


恋愛論の本は説く、「愛とはこういうものだ」と。
そうかつて太古の哲人も説いてきた、「愛とはこういうものだ」と。
だが、感覚がその答えを拒否するのは、何故なのだろう。

「彼」との別離は、二週間ほどになる予定だった。
おそらくその期間を私は泣いて暮らすのだろう。
だって愛しいモノと引き裂かれるわけだから…
そんな私のステレオタイプじみた、愛というものに酔っていた妄想は、
思いもしない速さでくずれ始めた。
一日目、二日目。
多少の不便は感じても、私は日々の生活を淡々と過ごしていた。
三日目、四日目。
毎日毎日の仕事は、私を駆り立てていく。
周りの人々に囲まれ、笑いながら生きていた。
「彼」がいないことを忘れていることも、しばしばあった。
いや、正直に言うなら…
私は、「彼」の存在など、まったく忘れて生きていけたのだ。
もちろん、多少の不便を感じるとき、「彼」を思い出すことはあった。
でも、それ以外の時間、つまり、一日のほとんどの時間、
私はまったく淡々と生きていた。
そして、五日目、私はようやく気づいた。
かつて、私は「彼」なしでも生きていたし、それでも幸せだった。
今のように仲間と笑い、仕事をし、そして食べ、眠る。
「彼」との出会いによって、そんな私の世界に変化が訪れた。
それも、正しく言うならば、私がかつて捨ててしまった、はじめの…
その変化は私の生活を、もっとおもしろくした。
それなのに、私は「彼」を捨て、また新しくより有能な「彼」に鞍替えした。
そして、その新しい「彼」への気持ちすらも、今は消え入りそうになっている。
吹雪の中のキャンドルの炎のように。
私は、はじめの「彼」を捨てた時、気づくべきだったのだ。
私の「彼」(ら)への愛は、「彼」(ら)の私への愛とは別物だということに。

(レッツ!ネクストステェジ!)

*ういっち!連載十一回目です。忘れたころに更新されるので、もう皆さん忘れられているかもしれませんが、
ここにでている「私」とは、ゆどうふのことを示しているのではないですよ^-^;