ドイツ語アルファベットで30のお題
〜マジンガー三悪編〜


"Q"--die Qual(責め苦)

さして、何の望みも無い。
だから、生き続ける事は俺にとって苦痛でしかない。
何の希望も無く、永劫に続くかのような「生」という責め苦の中に囚われている。
そう、「囚われている」。
それならば、理解が出来るというものだ。
何の罪だか知らないが、ともかく重い罪悪。
それを重ねたが故に、俺はこの世に「囚われている」のだ。
そうとでも考えなければ、納得がいかない。
何の喜びも無く、生き続けるということは―


いとしい人々には、最早会うことはかなわない。
いとしい人々には、会えない。
例え、俺のこの身が朽ち果て、消え失せたとしても―


何故なら、反吐が出そうな事実だが―
俺のいとしい人々は、俺が決して立ち入ることの出来ない聖域にいるだろうからだ。
神に守られた、その聖域の名を―俗に、「天国」と言う。
罪に穢れた俺を、必ずその世界は拒むだろう。
だから―もう、会えない。


ああ、
生きる事も憂い、さりとて死ぬ事にすら希望は無い。
それでも、俺は生き続けている。
それが、俺に課せられた罰なのか―




だから、俺にとっては―「終わる」ことだけが、救いなのだ。
きっと。




鋼鉄の騎士よ、早く来い。
俺を滅ぼせ、俺の存在を消してくれ。
その時が、その瞬間が来るまで、俺はこの世界を焼き尽くし続けよう。
あの愚鈍な盲目の神が創り上げた、この世界を。
だから、お前がこの世界を愛するならば
俺を滅ぼせ、俺を消せ。




俺を滅ぼせ、俺を消せ。
その時まで、俺はこの世界を焼き尽くし続けよう。
紅蓮の炎となり、邪悪と化し、破壊の権化と変わって
燃やして、燃やして、燃やし尽くして―




(...aber, eigentlich gibt es "die Ende"?)





マジンガー三悪ショートストーリーズ・"Zwei silberne Ringe, ewige Liebesbande"より。
その後の物語、ミヒャエルの独白。