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vsゆどうふ 第二試合 <vs耳かき>
世の中には、人間に味方をするふりをして、ひそかにその破滅を狙っているものが少なくない。
そのひとつが、耳かきである。
あなたは知らないのだ、彼らのとりことなり、その依存性から傷つけられ、それでも彼らから離れられないもの達の悲哀を。
だが人類の英知を持ってすれば、必ずや勝機は存在する。
これは、そんなやつらとの、ある戦いの記録である。
私の机の傍らには、常に耳かきが存在する。今まで何回も耳かき断ちをしたが、そのたびに挫折を繰り返してきた。
しかし今回は必ず達成する。私は熱い誓いを胸に、その耳かきを机の奥深くに隠した、はずだった。
なぜだ、なぜ私は今耳かきを手に握っているのだ?!目に映る光景がまるで信じられない。
私は己の右手に命令する、『その悪魔の物体をすぐごみ箱に葬るのだ!!』だがこともあろうに我が右手はもはや私の右耳の訴えしか聞こえていないのだ。
右耳から発せられる異常なかゆみへの苦しみ、そして耳かきを渇望する意思。
もはや私の大脳新皮質は動物脳たる大脳皮質に破れようとしている、理性が欲望に負けてしまうのだ。
ああ、耳かきが私の体に進入してくる、してやったりというところか。
その先端が外耳道に触れた瞬間、もはや体中がそのインパクトを想像し、予感と期待に打ち震えていた。私の大脳新皮質すら。
ほんのすこし、ほんのすこしなら害はないとお医者も言っているではないか、ほんのすこし、だ。
もはやそんな言い訳すら用意している。なんと人の弱いことか!
そして、耳かきがその一撃を加えた。
「くうっ」かゆいところがちょうどかかれたというあの忌まわしくも甘美な快感が体を脳天からつま先まで駆け巡る。
もうこの行く先はわかっている。思いっきりかいてかいてかきまくって、耳から出血するほど、痛みすら生じさせるほどに耳を掃除してしまうのだ。
いつもどうりの結末。自分の意志の弱さにあきれつつ、それでも私はこいつにあらがえずにいた。
やつは、耳かきは、今日も私の血を吸ってさぞ満足することだろう。
*よいこのみんなへ!耳かきでの耳掃除は、あんまりやりすぎると血が出ちゃうゾ!
ほんとは週1くらいでいいんだ!!