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◆ 「魂呼び」
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…ああ。
また、この場所に戻ってきた。
「全てのイキモノが行く場所」に…

今まで何度、繰り返したことだろう。
過去を忘れ、新たな命を得て、また地上で生きて。
そして死に、再びこの場所に帰りつく。

今まで、幾多ものイキモノとして私は生きた。
私は、ユウキという犬だった。
私は、ミハエルという蛇だった。
私は、翔という大鷲だった。
私は、ミラという蛙だった。
私は、リンシアという豹だった。
私は、更紗という蜘蛛だった。
私は、マリアというイルカだった。
私は、ショウという飛燕だった。
私は、キャプテン・ルーガというハ虫人だった。
私は、ベルファストという鷹だった。
私は、風花という水鳥だった。
私は、キーツという蝙蝠だった。
私は、レイラという蝶だった。
私は、ディーナという獅子だった。
私は、カイという鮫だった。
私は、アリエスという狐だった。
私は、パトリシアという二十日鼠だった。
私は、ブレイクという蜥蜴だった。
私は、アルブレヒトという猿だった。
私は、雪という白兎だった。
私は、キマイラという猫だった。
私は、グスタフという人間だった。
私は、リヒターという虎だった。


まだまだあったはずだ。
そして、ついこの間までは…地上にいた私は、ライという狼だった。
この場所に帰りつき、しばらくすれば…だんだん思い出してくる。
自分が今までどのようなモノであったか、ということを…
そして、私はただその時を待つ…
再び、新たないのちとして、地上に舞い戻る時を…











…。
…誰だ。
私を呼ぶ声が、地上のどこかから聞こえてくる…?
…あれは、何と言っているのだ?
あれは、私の名前か…?
…よくは、わからない。
だが、あれは確かに、私の名前だ。
彼らは、私を呼んでいる。
私の名前を、かつて私のモノだった名前を呼んでいる…



…。
…ああ。
そうか、思い出した…


…私の名は、「キャプテン・ルーガ」だ。



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