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◆ 四つのこころは一つにならず、
  一つの「正義」も成り立たぬまま
  (「不協和音」第二章)
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「な…」
リョウの唇からは、そんな押しつぶされたような音声らしきものが漏れただけだった。
数秒の間の後、彼は…唐突に笑顔を取り繕い、ブライトに向かってもう一度問いかけた。
「…す、すみません。…もう一度、言っていただけませんか?!」
「…リョウ君。…ああ、何度でも言おう」
ブライトは、彼の狼狽振りを…そして、それは予測どおりの反応だった…心中痛々しく思いながらも、プリベンターを率いる指導者として、その冷酷なオーダーを再度繰り返した。
「次に我々が真・ゲッター、及びメカザウルス・ロウと接触・交戦状態になった場合…我々は、全力を持ってその破壊に専心する」
「?!」
「…」リョウの顔色が、ざあっと変わっていくのが傍目にもわかった。その様をハヤトとベンケイは無言のまま見ている…
同じくそれを部屋の片隅で見ていた万丈…彼もまた、沈痛そうに目を伏せた。
アーガマ・ブリッジ。
格納庫を飛び出したあの後、いつの間にかエルレーンは眠りについてしまったようだ。
…数時間後、状況がまったく把握できない、といった様子で姿を現したのは、流竜馬のほうだったからだ…
彼の覚醒を受け、ブライトはゲッターチームの三人をブリッジに呼びつけた。
エルレーンとベンケイ、ハヤトたちのいさかい…そして、No.0の、あの異常さ。
それらがブライトたちプリベンター上層部に、とうとうある決定をさせたのだ。
「な…何故ですか?!」
「つまり…あの、No.0を説得するのは不可能だ、と判断したのだ」
「ふ、不可能ですって?!何故、何故そんなことを言うんです?!」
「…先ほどの戦闘の様子を見れば、その理由は明らかだと思うがな…リョウ君」
No.0はリョウの説得を拒絶し、無抵抗のゲッターチームに攻撃を仕掛けてきた。
あのまま彼女が目覚めなければ…エルレーンが目覚め、応戦していなければ。
それがどんな結果を生んだか、明白すぎるくらい明白だ。
そして、No.0の言動、「『自由』を得んがためにゲッターチームを殺す」という目的、最終的に彼女のとった行動…
その全てが、彼女の説得など不可能だ、という結論を後押ししている。
だが、ブライトは…そんな命令一つでリョウが心を曲げるはずはない、ということを半ば知ってもいた。
彼は、一瞬呆けたようになっていたが…しかし、その一瞬後、きっ、と顔を上げ、真剣なまなざしでブライトを見返してきた。
「…い、いいえ!お、俺はあきらめません!」
「!」はっきりと、彼はそう言い放った。
それは、宣言だった。
No.0を救うことを、自分は決してあきらめないという…!
「俺はあきらめません!俺たちは必ず、No.0を説得してみせます!」
「…」
「それに、No.0を手に入れることは、真・ゲッターを手に入れることでもあります…
あれが俺たちゲッターチームのもとに帰ってくれば、十分戦力の増強になるはずです!
決して悪い話じゃあないはずですよ?!」
「…」
必死に言い募るリョウの言い分を、ブライトは無言のままに聞いている。
「…そう、あいつは怯えているだけなんだ!だから、次こそは、必ず俺たちが…」
「『俺たち』…か。…だが」
ちらり、とベンケイに目線をやるブライト。
…そして、再び、リョウ…いや、リョウの中に在る、別人格にも。
「君たちのうち、すでに二人は…そうは思ってはいないようだぞ、リョウ君…」
「…?!…ど、どういうことですか?!」
「…リョウ」
「!…ベンケイ」ブライトの言葉に困惑するリョウ。
…と、今まで黙りこくったままそんなリョウをただ見ていたベンケイが、動いた。
彼は、リョウの瞳をまっすぐ見据え、言った―
「俺は、はっきり言って反対だ」
「?!…な、何を言ってるんだ?!」
「あのNo.0を説得するなんて、とうてい無理だって言ってんだよ!」
「!…お、お前、本気か?!」
「ああ、本気だ」
リョウの問いに、彼は穏やかに答え…静かにうなずく。…と、きっ、とにわかにその目つきが鋭くなる。
「…お前こそ本気なのかよ、リョウ!お前、あいつにあんな目にあわされてまで、まだあいつを信用しようってのかよ!」
「!」
ベンケイの必死の問いかけ。
あのNo.0に惑わされ、絶望的な道を選ぶことに固執するリョウを、何とか現実に引き戻そうと…
しかし、その思いもむなしく裏切られる。
「…ああ!」
一旦口をつぐんだ後、リョウは…きっぱりと、決然と、その問いに肯定の意を示した。
「!」
「俺は、信じる…俺たちは、必ずあいつの心を変えられるはずだ!そうさ、今度こそ…俺は、救ってみせる!」
「り、リョウ…お前、馬鹿だよ!」
その、どうしようもなく楽天的で…そして、現実を見ていない、薄甘さ。
ベンケイにとっては、リョウのセリフはそんなものにしか感じられなかった。
だから、とてつもなく馬鹿げた人道主義、愚かなまでのやさしさを振りかざすリョウに対し…ベンケイは、罵倒にも似た言葉を悲痛な声でうめいた。
それに絶望しつつ、それでも、そんな彼を何とか引きとめようと。
「何だとッ?!」
「ああ、お前は馬鹿だ!でなきゃ底抜けの、ど阿呆のお人よしだ!あんな目にあわされて、まだそんなことを言ってやがる!
…いいか、リョウ、もしなあ!」
怒鳴りつけるリョウに対し、負けないくらいにでかい声でベンケイは口早に怒鳴り返す。
ブリッジにがんがん響き渡る、ベンケイの言葉…彼は、正確に、具体的に、その懸念をリョウに叩きつけた。
そしてそれは、プリベンターの皆が薄々…いや、もう明確に…抱いている懸念でもあった。
「…もし、お前がまたあいつを説得するのに失敗して、あいつがブチキレやがったら!
あいつは真・ゲッターとメカザウルス・ロウで、油断したお前を、俺たちを撃墜するだろう!
…いいや、俺たちだけじゃない!もしかしたら、他のみんなだって!」
「!」
「…わかってんのかよ、リョウ!…お前のわがままが!『仲間』を死なせちまうかもしれねえんだぞ!」
「…〜〜ッッ!」
ベンケイに指弾され、リョウは…とうとう唇をかみしめ、うつむいてしまった。
その様を見て、ベンケイも多少気がとがめたのか…ふうっ、と大きく息をつき、今度は、先ほどよりはずっとずっと穏やかな声で、リョウにつぶやく。
「リョウ…もう、あきらめよう。…あいつは、無理だ…
あいつは、お前じゃない…。
あのNo.0は、自分の意思で、俺たちを殺そうとしてるんだよ」
「…!」
「…」
「は、ハヤト!…お前は、お前はどう思ってるんだ?!」
…と、はっとなったリョウ。
彼は、ぱっと顔を上げ、「もう一人のゲッターチーム」に話を振った。その目には期待と希望がきらめいている。
「お、俺は…」それに気おされ、ハヤトは口ごもる。
そのはっきりしない反応を見たリョウの表情に、いくばくかの困惑が入り混じった。
「ま、まさかお前も…?!」
「…いいや、ハヤトは…まだ、迷ってる。…だけど」
ベンケイがずばりとそれを言い当てた。
…そして、それに続き…決定的な事実を口にする。
「だけど、…エルレーンは違うんだぜ、リョウ」
「?!」
「そうだ…リョウ君。…気を失っていた君は知らないだろうが…あの後、目覚めたエルレーン君は」
今まで黙ったまま、リョウとベンケイのやり取りを聞いていたブライトが、再び重い口を開いた。
「…エルレーン君は、迷うことなくNo.0を攻撃した」
「え…?!」驚きのあまり、言葉を失うリョウ。
嘘だ、という思いが、頭の中をさあっと占めていく…が。
そのブライトの言葉を、誰も否定しなかった。
それはすなわち、彼の言葉が事実そのものを言い表しているということ…
「…」
「そ…そんな、馬鹿な!な、何で、何で、エルレーン…ッ?!」
「リョウ。…つまり、エルレーンのほうが、お前なんかよりはるかにわかってるってことさ」
動揺もあらわなリョウに、ベンケイはさらに言う。
「あの、No.0には…俺たちのこころなんか通じない、あいつはただの『兵器』だ、ってことに!」
「…〜〜ッッ!!」
「…」リョウの瞳に、一挙に怒りの炎が吹き上がる。
だが、彼は怒りに我を忘れベンケイを面罵することはしない。
…その代わりに。
炎の燃えるような目で、その瞳にありったけの怒りと非難をこめて、ベンケイをまっすぐににらみつける。
ベンケイも、退かない。それに応じ、まっすぐにリョウをにらみ帰す…
そして、しばしの無言。
ハヤトもブライトも何も言えず、ただ二人の視線の応酬を見ている…
「…」
「…」
「…」
にらみ合う二人。どちらも、一歩も退かない。
己の正しさを、強く信じるが故に。
そして、静かで激しいそのにらみ合いの最後、リョウは…ゲッターチームの「仲間」、にもかかわらずまったく理解しようとしないベンケイをねめつけ、まるで捨て台詞のようにこう言い放った。
「…ベンケイ…お前、…見損なったぜ!」
「…何だと?!」
「や、やめろ、お前らッ!」その言葉に、かあっと頭に血が上る。
リョウにつめよろうとするベンケイの進路を、ハヤトが慌ててふさぐ。
「…」
「…」ハヤトの仲裁にもかかわらず、二人はまったく視線をお互いからはずさない…
無理解な相手に対する怒りと侮蔑をその瞳ににじませ、リョウとベンケイはぎりぎりとお互いをねめつけている…

廊下を二人、無言で歩いていく。
リョウとハヤトは二人、何も言わないまま。
あの後、ベンケイは…きびすを返し、ブリッジから去っていった。
リョウたちと何の言葉を交わすことなく。目を合わせることなく。
「…」
「…」
口を閉ざしたまま、歩く。その沈黙が不快なまでに重すぎ、とうとうハヤトは口火を切ることにした。
「…な、なあ、リョウ…」
「…ハヤト」
だが、その時だった。
ぴたり、とリョウがその歩みを止める。
「?!」
「俺は、絶対にあきらめないぜ…そうさ、ベンケイやブライトさんがどんなに言ったって、
…エルレーンが、エルレーンまでもが、No.0を見捨てたって」
思わず自身も立ち止まったハヤト。
彼の目の前で、静かな、感情を押し殺した低い声で、リョウがぼそぼそとつぶやくように言う…
だが、それはハヤトの返答など望んでいない言葉だ。
ハヤトの介入など最初から受け入れようともしない、それは一方的な宣言だった。
その声にこもった感情の重さ。
ハヤトは思わず、リョウの顔を見返した。
…その時、ハヤトの目に映ったもの。
廊下に立ち止まったリョウ…
彼は、ゆっくりとその面を上げた。
彼の両の瞳が、強い意志でぎらついている。まるで、炎が燃えるように、強く、強く。
「俺は、絶対に、嫌だ…」
そして、一言一言区切るように、あの時と同じセリフを繰り返した…
「り、リョウ…」
「俺は、今度こそ、救ってみせる…そうだ、ハヤト。…俺たちが、あいつを救うんだ…」
「…」ハヤトは、何も言えない。
リョウの目に宿る、意志の光の強さに半ば威圧され、彼は何も言えないままでいる…

絶対に、No.0を救うんだ。
リョウの頭の中を巡っているのは、その強い思いだけだった。
エルレーンは…あの時、自分を押しのけ表に出たエルレーンは、「迷うことなくNo.0を攻撃した」という。
何でそんな残酷なことが出来るのか、俺には…わからない。
だって、あいつは、No.0は…昔のエルレーンそのままじゃないか。
昔のエルレーン同様、俺たちゲッターチームを、ゲッターロボを倒すための「兵器」として造られて…
そんなあいつを、どうして見殺しにしておけるってんだ?!
それじゃあ、俺たちはまた繰り返すだけになってしまう!…あの、どうしようもなくつらかった過去を!
俺は、二度と繰り返さない。俺は、今度こそ、救ってみせる!
自分の分身、No.0を…
この間のことでわかった…あいつは、俺たちに怯えているんだ。怖がってるだけなんだ。
そりゃそうだろう、「敵」のはずの「人間」から、いきなり「こっちに寝返れ」なんて言われて…そうホイホイ信用できるはずもない。
…だけど。
だけど、このままあいつを放っていても、恐竜帝国…トカゲ野郎どもがあのNo.0をまともに扱うとは思えない。
あいつは、「ハ虫人」に冷たく放り捨てられ、苦しんでるに違いない。
かつて、エルレーンがそうだったように…
俺は、きっとあのNo.0を…取り戻してみせる。俺たち、「人間」の手に!

絶対に、止めなきゃいけない。
ベンケイの頭の中を巡っているのは、その強い思いだけだった。
リョウは、完全にイカレちまってる。まともに頭が働いていないんだ。
自分と同じ顔、同じDNAからできた、あのNo.0。
リョウは、あのNo.0を「仲間」に出来ると思ってる…
あいつは、おめでたいぐらいにお人よしの馬鹿だ。
あの、冷酷でとんでもない女は、とてつもなくゆがんじまってるってのに。
…でなきゃ、あんな…あんなことが出来るかよ。
自分を助けようとしてる奴にゲッタービームぶっぱなして、挙句の果てにはリョウを黙らせるために自分の腕にナイフぶっさすようなことなんて。
あいつが、No.0が、俺たちの側についてくれるなんてこと…とてもじゃないがありえねえ。
リョウはあんな目にあっても、まだそれをあきらめちゃいない。
…だけど。
だけど、俺から見れば…あいつのそのやさしさが、次にどんな結果を生むか…わかりきってる。
あいつは、俺たちを殺しにかかってくる。リョウのやさしさ、思いやりなんて踏みにじって。
だから、そうなる前に…俺は、リョウを止めなきゃダメなんだ。
ハヤトは、止められない…
あいつは、何も言えないままでいた。
頭のいいあいつなら、リョウのやろうとしていることが、無茶すぎるくらい無茶だってことがわかりきってるはずなのに。
…そりゃあ、俺は…昔を、知らない。
だから、No.0がエルレーンと同じ、って言われても、…わからない。
だけど、俺の目には…その「昔」に縛られて、まともに考えられなくなってるリョウとハヤトが危うく見える。
リョウ。
お前はやさしい。それはわかる。
リョウ…だけどそれは、俺たちみんなを…プリベンターの「仲間」をも否応無しに巻き込むんだぜ。

絶対に、あのNo.0を殺さなきゃいけない。
エルレーンの頭の中を巡っているのは、その強い思いだけだった。
あのNo.0は、リョウの言うことを無視した。
その上、一生懸命助けようとしてくれてるリョウを、…傷つけた!
あれは、No.0は、リョウたちを殺したくて殺したくて仕方ないんだ。
危ない…あんなモノ、生かしといちゃいけないんだ。
殺さなきゃ。あれは「敵」だもの。リョウたちゲッターチームのいのちを狙う、「敵」なんだ!
…だけど。
ハヤト君は、また怒った…あれを殺そうとした私を、怒った。
へんだ…変だよ、ハヤト君。
だって、あれは「敵」じゃない。
それに、あいつは…リョウを傷つけたんだよ?…あれを助けようとした、やさしいリョウを!
だから私許せない。
あのNo.0が、プロトタイプが許せない!
リョウの「敵」…ゲッターチームの「敵」。
ゲッターチームを傷つける「敵」から、私は守るんだ!
リョウたちを、いのちかけて守るんだ!
だって、リョウたちは…私の、大事な「トモダチ」だもの!
その「トモダチ」を傷つけるやつなんて…私、絶対に許さない!

『…だから!』

「俺は、絶対に…No.0を救うんだ!」
「俺は、絶対に…あいつらを、止めなきゃならんのだ!」
「私は、絶対に…No.0を殺さなきゃいけないんだ!」

「ちっくしょう!…俺は、どうすればいいんだよッ?!」
ハヤトの頭の中を巡っているのは、その強い苦悩だけだった。
俺たちは、今、ばらばらになってしまっている。
あのNo.0をめぐって…
だけど、あいつらの誰一人として。
誰一人として、間違っちゃあいない…あいつらの誰もが、正しいんだ。
No.0を「人間」として、自分の「妹」として、救おうとするリョウも。
No.0の危険性を指摘し、奴を説得したがるリョウを止めようとするベンケイも。
リョウを攻撃したNo.0を「敵」と判断し、殺そうとするエルレーンも…!
わかる。わかってしまう。わかってしまうからこそ、何も言えない。
…それに。
もう俺たちには、リョウを止めることは無理かもしれない…
俺は、見てしまった…リョウの、あの目を。
さっきのリョウが見せた目は、間違いなくあの目だ…
決して退かない、あきらめない、誰の言葉も聞きゃあしない。
ああなっちまったリョウは、もう俺たちの言うことなんか耳に入らない。
…そうだ、あの時もそうだった…エルレーンとの、最後の戦いの時も。
だが、それだけじゃなく…あの目は、俺にあいつを思い出させる。
もしかしたら、あのNo.0は…エルレーンとは、まったく違うのかもしれない。
むしろ、あいつは…No.0は、リョウに似てやがるんだ。
燃えさかってる炎みたいな、強烈な意思でぎらぎらした目。
リョウの奴が時々見せる、あの目…
あいつと同じ目を、あのNo.0もしていやがった。
…俺たち三人を殺し、ゲッターロボを破壊すれば、恐竜帝国から「自由」になれる、と言っていたあいつ…
そのときのあいつの目には、さっきのリョウみたいな光があった。
希望と意思と感情で、ぎらぎらした光。邪魔する奴は全て焼きつくしちまうみたいな、強い強い目…
…エルレーンには、ない目だ…
少なくとも、俺はエルレーンがそんな目をしたところを、見たことがない。
そんな目をして、自分の前にある厄介ごとをねめつけていたところを、見たことがない。
あいつは、ただ…泣くか、惑うか…そうでなきゃ、哀しげに微笑むだけだ。
…そうして、挙句の果てには…自分が死んで、この世から退場しようとした。その厄介ごとに、耐え切れずに。
俺たちは、間違っていたのかもしれない。
エルレーンとNo.0、あいつらを同じモノのように考えている俺たちは。
あいつが、リョウに似ているのならば…リョウのように、己の意思を意地でも貫き通すって奴ならば。
あのNo.0は、間違いなく俺たちを殺す…「自由」になるために!

…だけど。
だからといって、俺はあのNo.0を殺すというのか?
…一度、エルレーンにそうしたように?
同じことを繰り返すのか?
…一度、救うことをあきらめて、エルレーンを見捨てたように…?
リョウは、信じた。あきらめなかった。
そして、とうとうエルレーンを救った…
生死ぎりぎりのところまで追い詰められても、それでも…あいつが、エルレーンを救ったんだ。
俺は…俺たちは、今度こそ、そうすべきじゃないのか…?!

「畜生…」
ハヤトは嘆息した。
いくら考えても、自分が、自分がどうすべきか、彼の答えは出てこないままで。
ばらばらに裂けてしまったゲッターチーム、そのかなめになることも出来ず、彼は苦悩している…


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