Now you are in the Website Frau Yudouhu's "Gag and I."
TOP小説のお部屋>恋愛小説「パソコンと私。」


恋愛小説 「パソコンと私。」


真実の愛は見返りを求めないことだという。
だが、それで本当に幸福を感じるのならば…
所詮その相手がいなくても、きっとその人は幸福になれる…

そうなのだ。
私の脳裏に、突如そんな考えがひらめいた。
それは、今まで幾度も浮かんできてはいたが、そのたびにこころの中で打ち消してきた考え。
私の「彼」(ら)への愛は、「彼」(ら)の私への愛とは別物なのだ。
それは本質的に。
パーソナルコンピューターという、機械でしかない彼らの、私たち人間への、愛。
それはただ、与えられた仕事をこなすという行為によってしか示されない、盲目的なものだ。
それは、奴隷の喜びに似ているかもしれない。
見返りなど期待してはいけない。
自分たちは、ニンゲンの奴隷なのだから…
無茶をされ、システムに異常が起きるときもある。
叩きつけられる冷たい打鍵の痛み。
己の罪ではないにもかかわらず、エラーが起きたといっては責められる。
それでも、いつか「主人」たるニンゲンが笑いかけてくれる日がくる…
一途過ぎて、痛い愛。
ニンゲンではないから、愛を得る為に闘うすべもなく、要求するすべもない。
時折与えられるのは、その奴隷の働きに満足したご主人サマのお恵みだ…
そう、それは私と「彼」(ら)の関係にも、ぴったりとあてはまっていた。
憎らしいくらいに。
そう。
私は今まで、「彼」(ら)を愛していた、といってきた。
でもそれは、気まぐれな王のお恵みに過ぎないのだ。
はじめの「彼」は、そんな残酷で傲慢な私の愛を、受け入れてくれた(かのように見えた。少なくとも私には…)
それは「彼」の、優しい「彼」のお芝居だったのかもしれない。
しかし私はそんな「彼」を捨てた。
そして、今は遠い工場にいる、二個目の「彼」…
あの「彼」の、病床での冷たい態度は、おそらく反抗だったのだろう。
パソコンでしかない、奴隷でしかない自分への。
その実、王として接していながら、うわべだけは自分の理解者のように振舞った私への。
「彼」は、正しかったのだろうか。私は、正しかったのだろうか。
そして、私は、どうすればいいのだろう。
その答えの出ないままに、私はまた考えるのをやめた。

(ごーつーねくすとすとーりー)


*12回目になりました。わけのわからない散文ですが、ここにでてくる「私」はゆどうふではないことを心におとめおきください^−^;