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◆ Monologue〜Nobody hears, Nobody knows〜
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ああ。
このままじゃ、いけない。
私、リョウに何かしてあげなきゃ。

私、このままじゃダメなんだ。
リョウは、私を助けてくれたのに、私を許してくれたのに…
それなのに、私のことで、リョウは苦しんでばかりいる。

でも。
どうして、リョウは私のことに、気づいてくれないの?
私、ずっとリョウの中にいるよ。
ここにいるよ。
どうして、私の声が聞こえないの?
どうして、私の声を、聞いてくれないの…?

それに。
どうして、私は今、「私」でいられるんだろう。
リョウの中で。
どうして私は、「エルレーン」でいられるんだろう。
どうして私は…「リョウ」にならなかったんだろう?
リョウのこころの中にずっとこうやって浮かんだまま。
リョウの思ってること、リョウの思い出を知ることはできる…
だけど、どうして私は、消えなかったんだろう。
私は、リョウと同じモノでできてるはずなのに。
だから、リョウに、リョウに「帰れ」るはずなのに。

ああ。
リョウ。
私、わからない。
リョウは、私に気づかない。
私は、リョウになれなかった。

リョウ。
リョウは、私を、受け入れなかったのかもしれないね。
私の「魂」を、救ってくれたけど…
自分の中に、取り込んで助けてくれたけど…
リョウは、私を、「リョウ」としては、受け入れてくれなかったんだ…
私は、リョウの中で、きっとじゃまなものなんだね。

でも、リョウ。
私、あなたを守りたい。
私を助けてくれた、あなたを…
だから、私、目覚めなきゃ。
その間、少しがまんしてね。ごめんね。
でも、私が覚えていること、きっと役に立つ…
私は、今も「エルレーン」でいる。「エルレーン」でいられる。
そのことが、きっとあなたの役に立つ…

リョウ。リョウ。私の、オリジナル。
私の、大切な人。
私、あなたを困らせたくない。
私、リョウのじゃまになるのは嫌。

だから、やっぱり、リョウにとっては、私は「死んだ」ままのほうがいいんだ。
こんなじゃまな私のことなんて、知らないままでいて。

リョウ。
リョウ。
だけど、それでも。

私はいつも、あなたの中にいます。


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