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あしゅらとブロッケンの「お悩み相談室」!


相談19:
一人息子が実験中の事故で、爆発に巻き込まれて虫の息です。
この先どうすればいいでしょうか。

(「兜十○」さん)


あしゅら:…。
ブロッケン:…。
あしゅら:…重い、な
ブロッケン:ああ…だが、ここに相談されたところで何もしてやれんがな
あしゅら:ん?何故だ?
ブロッケン:…?
あしゅら:ブロッケン、何を寝ぼけたことを言っておるのだ!
この男は、「それ」を求めて私たちに相談してきている…そうじゃないか?!
ブロッケン:?…何だ、何のことを言っておるのだ?
あしゅら:例え、この男の息子が死んでも…再び生まれ変わらせればいいではないか、我々のように!
ブロッケン:…!
あしゅら:お前も私も、一度死んでいる…
だが、ドクター・ヘルの力によってまた再びこうしていのちを
ブロッケン:やめろッ!
あしゅら:?!
ブロッケン:そんな事をして何になる?!お前、本気で言っているのか?!
あしゅら:ああ、本気だ…どうしたブロッケン、何を急に猛っておるのだ!
ブロッケン:人間は、死んだらそれで終わりなんだ!
それを捻じ曲げることなど、イカレた所業だとは思わないのか?!
あしゅら:ブロッケン…貴様、
ブロッケン:この国の神話だってそうだろう!
死んだ妻・イザナミを取り戻しに死者の国に行った夫のイザナギは、結局どうなった?!
結局は、哀れな別れを迎えただけじゃないか!
あしゅら:…。
ブロッケン:ギリシア神話のオルフェウスも、最後は「それ」をなしえなかった!
そのような、「それ」を望んだ失敗が「神話」として伝わっているということは…
つまり古代の人々は、「それ」をしてはならないものだと考えていた、ということだ
あしゅら:…。
ブロッケン:だから、死者を呼び戻す「それ」は…してはならないことだ
あしゅら:…だが、私たちはそうなった、結果的に
ブロッケン:だから、忌まわしいのだ…本当にわからないのか、あしゅら
あしゅら:…。
ブロッケン:だから「兜十○」よ。お前がやってやれることは、ひとつしかない…
祈ってやれ、息子のために。
息子のいのちが助かるように。そうでなければ、息子の魂が平安であるように

あしゅら:…ブロッケン
ブロッケン:…何だ
あしゅら:しかし、それでも…私は、…そうしたって、いいと思うのだ
ブロッケン:!
あしゅら:死は神聖なものだ。生と同じように。
そして、その命運は神々の手にのみゆだねられるべき、そのこともわかっている
ブロッケン:…。
あしゅら:だが、それでも…愛した者を奪われる苦痛は、何物にも耐えがたいから、
ブロッケン:…。
あしゅら:どんな姿でも、生きているあたたかさを感じることができるのなら、
ブロッケン:…。
あしゅら:例え神の意思に反しても、
ブロッケン:…。
あしゅら:「それ」を望んだって、かまわないと思うのだ…
ブロッケン:…だが、
あしゅら:わかっている。「それ」が、正しいなどとは言わない。
しかし、それを言えば、今この世界にある医療すべてをも否定するのではないか?
ブロッケン:…。
あしゅら:私が生きていた時代なら、流行り病で何千人も軽く死んだ。
しかし、今はそれを何とかする薬がある。
これは、神の意思に反することなのか?
ブロッケン:…わからん
あしゅら:医業を行うものは、みな…「目の前で苦しんでいる人間を救いたい」、その思いで戦っているのではないか?
ブロッケン:…。
あしゅら:ならば、その究極は…「死に至った人間を、生へと引き上げる」ことではないだろうか
ブロッケン:…「それ」が、どんなに邪悪なもので、よみがえった者を苦しめるとしてもか?
あしゅら:…わからん。それは、その当人が決めることだ
ブロッケン:…。
あしゅら:…。
ブロッケン:…やはり、貴様とは気が合わないな
あしゅら:そんなこと、とうの昔に知れておる
ブロッケン:そうだな…
あしゅら:…ブロッケン
ブロッケン:何だ
あしゅら:お前…生きるのが苦しい、と思うか?
ブロッケン:…ああ。特に、この「二回目」はな
あしゅら:…そうか
ブロッケン:…。
あしゅら:…あ、あのな、ブロッケン
ブロッケン:何だ…?
あしゅら:な、何か悩み事とかあれば、き…聞くだけは聞いてやってもいいぞ
ブロッケン:…余計なお世話だ
あしゅら:だ、だが…「ただ、生きている」、そのことにだって、きっと意味はあるのだぞ。
私はそう思っている…信じている。
だから、貴様も…
ブロッケン:…ふん、なるほど!道理で貴様は「ずぶとい」わけだ!

See also:
尊厳死
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8A%E5%8E%B3%E6%AD%BB
輪廻
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BC%AA%E5%BB%BB
死生学
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%BB%E7%94%9F%E5%AD%A6
メメント・モリ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%AA