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vsゆどうふ 第四試合  <vs妹>


兄弟。それは時には助け合い,時には壮絶なまでに争う強大なる存在。

聖書のカインとアベルの物語をひもとくまでもなく,多くの方は身に覚えがあろうというもの。

だが,たとえそのような己の弱点を知っているもの相手でも,人類の英知を持ってすれば必ずや光はさす。

これは,そんなある戦いの記録である。


冬。ラーメンが恋しい季節だ。この季節になると,戸棚にはインスタントラーメンの買い置き率が高くなる。

母はいつも,その手のものは必ず二つ買ってくる。まずは私にひとつ,そして用にひとつ,と。

兄弟けんかしないようにという気遣いがそこにはほんのり漂っている。

嗚呼,それなのに。やつはそんなことすら気づかず…いや違う,気づいていながらそうしたのだ。

私の目の前には,「ハウスとろみ好麺」の残骸だけがむなしく横たわっていた。冷えた油が固まり,わびしさすら生んでいる。

それは,間違いなく私の分のとろみ好麺だった。(やつは昨日自分の分を食べていたはずだ)

私はひざから崩れ落ちていく私を感じていた。全身に回る脱力感,そして胃が収縮し苦痛を訴える。

「…う…うぅ…」声にならない声で私はうめいた。先ほどまで,この好物を食べられるという喜びに打ち震えていた私の精神は,もはや崖っぷちまで追い詰められていた。

嗚呼,冬休みだからといって昼12時におきた私が悪いのか,好物だからといってずっととっておいた私のせいなのか。

しかし,もはやそんなことはどうでもよかった。私は悲しみに混濁したうつろなひとみでドンブリばちを見つめている。

「食い物の恨みは怖い」そう,そういった昔の人はえらかった。まさにそのとおりではないか。

私は視線を奴の部屋に向けた。奴はとっくの昔に学校へいってしまっている。

私の目は「復讐」という朱い炎に縁取られていた。


***これがいわゆる「ハオチー事件(いくえハオチー事件(1999))である。
その後お互いの分のお菓子や麺類を先取りして食べてしまうという抗争状態がつづくが,お互い消耗し,
和解という決定を取った(こたつみかんの和議)