1548   「なぜTIMEが読めないのか」松本道弘 小学館(2002)
2004/01/04 20:46:15  yudouhu   (参照数 21)
これは、週刊誌TIMEのための見出し速読術を書いた本です。

決して、スコアアップが実力証明にならないぞと水をさしているわけではない。
しかしあまりにも安易な点数万能主義が横行しすぎているので苦言を呈したくなる。(p15)

…という作者さんは、「英語道検定試験」という独自の試験を主催しているのですが、その中でも「TIMEがすらすら読める人は皆無に等しい」とのことです(それほど週刊誌ッつうのはむずかしいんでせうね)。

そして、こんなことまでおっしゃってます…↓

80名のうち20%の16名が、絶望のあげく、ケラケラと笑い出す。気が触れたのではない、絶望を超えて悟ったのだ。この笑いは哲学の目覚めだ。転迷開悟。
TIMEの英語をものにしようとあせりすぎたから、TIMEに逃げられたのだ。
もうTIMEの英語を追うのはよそうと開き直り、「バカだな、お前というやつは」と自分を笑い飛ばせば英語道に入段できる。
あとは、読者の哲学が試されるだけだ。(p18)

…とまあ、TIMEを読むのに読者を十分覚悟させた上で(笑)見出しの解説編に入ります。
ここでは、

火・水・風・石・空の思想

に従った読み方が提示されていて面白いです。

火はpragmatist
情熱を持ってがんがん読みすすめる。とにかく読む。
読みたい記事を欲望のままに読む。

水はidealist
さらさらと、どの記事をも選ばずに、素直に英語を吸収するように読む。

風はrealist
心を一定の記事に留めず、がーっと飛ばし読みする。
インプットを超スピードアップだ。

石はanalyst
問題意識をなくさず、英語表現に惑わされずに本質を見る。
文化背景などの背景知識。

空はsynthesist
それらを全て統合したもの。自然体。

これだけではちょっとわかりにくいので、本文中にあった例を。

たとえば、カバーに大きなクモの写真が載せられた(そんなことはまずないが)としよう。
「火」の人は、「soider?スパイダーマンなら読むが」と独り言を言って、その週のTIMEよ読まない。sheepが特集なら、クローン羊のことだから魂を入れて読む。ところが、
「水」の人は、カバーストーリーは必ず読む。spiderの内容より、英語に溶け込んで、川の流れのように読んでいく。
「風」の人は、たとえspiderが気に入らなくても、さーっと見出しだけに一瞥をくれて、全ページをかすみ読みする。
「石」の人には好き嫌いはなく、なぜspiderが取り上げられたのか、その背景を分析するつもりで、深く読もうとする。(p157)

で、「空」の読み方は、これらを全体的に統合したもの(これはどんなものか私にはよく理解できませんでした)ということです。

この本の半分以上は見出し解説なのですが、私としては、この5つの思想を使うという点が気に入りました。
リーディングの際、「どのような心的態度を持って望むか」ということによって、
そこから得られる情報は変わってくるからです。
このように、意識的に自分の読み方を使い分けることはかなり有益な戦略といえるでせう。

(ちなみに、このような意識的なモノの読み方が出来る人には、
けっこう「受験勉強(国語)」が大いに役立っていることが多いように思われます。
そのようなテクニックとして教わるからです。
世の中、無駄なモンなんて本当なかなかないもんです(笑))

結構この辺の考えが気に入った本です^^
…学習者を結構落ち込ませますけどね、真実で(笑)

でわでわ!
ゆどうふ。