1385   Re^7:大人の言語適応力
2003/06/26 23:20:05  ijustat   (参照数 26)
これは 1382 [Re^6:大人の言語適応力] への返信です

ゆどうふさんこにちわ!ijustatです。

>そして語彙力を漬けるには、当然インプット量が必要になりますよね。
>そいつを考えると、やはり若者の使用する言葉が貧弱なのは仕方ないのではという
>結論が出てきそうですが(笑)

本当にそうですね。年の功というのか、若い時からずっと勉強を続け、経験を積んでいれば、知識や語彙力は増えざるを得ません。もし、知識豊かな(?)年輩の人が、青年の頃と語彙力や知識の面で大して違わないとすれば、それはゆゆしきことです。また、年輩の人が若者の語彙力の少なさを批判するとき、現在の自分と比較しているのなら、それも問題です。

変なことを考えてしまいましたが、昔から大人は若者の語彙力や表現力の乏しさを指摘してきたと思います。そしてそれらは数量で表せるものなのですから、もし何らかの計算で今の若者と年輩者との語彙力や表現力を算出して、その差を割り出し、若者の語彙力の低下を指摘している時代の文献をすべて集めて計算していったら、紀元前後の人類の知識は恐ろしいものになると思います。そして、未来へその計算を向けていくと、ある年に、若者の語彙量はゼロになり、その後はマイナスになる!^△^;

>実は、6月19日にテレビか新聞か何かで、この「千円からお預かりします」表現が問題にされていたらしくて、
>バイト先のコンビにでも使わないようにとの指導がありました。
>しかし、この表現はおそらくマニュアル表現なので(全国にいっせいに広まったのもそう考えないとおかしいですよね)、
>若者言葉ではないですよね。

それは面白いことですね。広く使われるようになった表現だけれども、「千円からお預かりします」という論理的に破たんした表現は、日本語が抱えられる限界に来てしまったために、ついに日本語自身が吐き出し始めたということかもしれません。

日本語を教えながら思うのですが、日本語は外見的にはその論理的構造が曖昧に見えることもあるけれども、プロの書いた文章を読みながらその文の構造などを説明していると、日本語はまるで数学のように論理的にしっかりした言語だというのを感じます。いや、言語というのはもともと論理的な正確さを求めるものなのかも知れません。

そういえば、大学生の頃、日本語は論理的でないということを非常に説得力をもって論じた文章を何かで読んだことがありますが、今考えてみると、その文章は日本語が論理的でないということを日本語で論証することによって、自分の主張を否定していました。クレタ人は嘘つきであるということをクレタ人が言うくらい矛盾した文章でした。

>だから日本人は議論もディベイトもダメだ…という悲観論が思わず出てきそうになりますが、
>それをやると二流、三流以下になってしまうので(笑)
>ついこの間、「声に出して読みたい日本語」という本がベストセラーになったことがありましたが、
>「美しい日本語」への浪漫があるのでせうね、
>だからそれから離れているように見える若者言葉が嫌いなんでせう。
>…この問題に関して多くの批評家が論じていますが、その根源も…
>やっぱり、この「キライ」感情であるような気がします
>だから、一般の方々もその論に容易に納得しやすい(笑)

言葉の美しさは、人間が本能的に求めているものだと思います。だから、保守的な言語を美しいと考える人から見れば崩れた言葉に見える若者言葉でも、若者たちはその中で美しさを求めているはずです。そしてそれは、若者たちが成熟していくにつれて、徐々に洗練され深みを持ってくる。そしてその若者たちは、その後の若者たちの若々しい言葉をまた偏見の目で見始める。^^

日本語で生産性のあるディベートが普通に行われる時代が来たら、本当にいいと思います。でも、ディベートを行うのに先立って、しっかりした手順と洗練された文の組み立てに従って物事を考える技術が確立される必要があると思います。それらのモデルになるものは、すでに日本語の中にあるはずです。志ある人がそれを体系化して私たちの言語技術を高めるのに大きく貢献してくれたらいいですね。

>をを、そんなものなんでせうか(笑)
>ijustatさんの出された案に+α条件を付け加えるなら、
>「ある程度継続してホームページに文章を載せつづけている」を私はあげたいと思います
>自分の文章が見られるということは、思ったより作者にプレッシャーですから。
>そのプレッシャーが、公共性を呼び覚まし、更なる文章の研鑚に向かわせる…
>それは硬い分だけではなく、ギャグっぽい文章でも、そうだと思うんですよね
>やはり、人気のあるページの作者さんのかかれる文章は、
>わかりやすく面白いものです。そして、味がある。

ホームページの文体には、いろいろなスタイルがありますが、論じているものや、説明しているものや、おしゃべりしているものなどが目に付くようです。私がうろうろしているサイト群には、論士とその亜流が多いようです。私はどのタイプかというと、多分、説明者の亜流とでも言ったらいいでしょう。いつか説明の名手になりたいと願っています。そのためには勉強しなければ……。(汗)

>…ちなみに、「大人」とは何歳くらいからのことをさしますかこの場合(笑)

鋭い質問ですね。私の考えでは、「大人」といえる不定型の集団があり、また「若者」といえる不定型の集団があるのだと思います。それは境界があるわけではなく、その典型と、典型に近いもの、典型からかなり離れているもの、どちらとも言えないものといったような、線上にあるものです。

>わあ…そ、そうなんですか…
>くっ、昔大学で「標準語」と「共通語」という言葉の扱いを教わった時のことを思い出します
>(何で「標準」なのさ?ってやつです)

同僚の先生で大阪に長年住んでいた人が話してくれたのですが、東京に行ったとき、大坂弁を使うとかなり冷たい反応があったが、一応標準語を使うと大丈夫だったということです。「東京の人は大坂弁を嫌うのよね」と言っていました。この話を一般化して受け入れるのは問題があると思いますが、その先生の話によると、友達も同じことを経験しているとのことです。私の考えでは、これが東京人の一般的な態度とは思えませんが、一部にそういう人が分布しているということは事実なのでしょう。

>ちなみに、「イケメン」とは…
>イケている という形容語 + オトコを意味するMen の合成語です。
>面白いことに、このイケメンという言葉はMenという複数形に由来しているにもかかわらず、
>単体に対して用いる言葉なのです。複数の時は複数扱いにする言葉をつけますから。
>…例えば、いい男が揃っているという時には、「イケメンぞろいじゃん」と言います。

オオ、そうなんですか。ありがとうございます。メンというので、顔のことかなあって思ってました。“面”って書くじゃないですか。でも、イケは何のことか、想像もつきませんでした。^^;

>その表現、考えてみると面白いですね
>通信用語は、半ばジャーゴン(なかまうちことば)ですよね
>…つまり、分からない人間もいるはず。
>でも、そいつには別にその言葉の説明はされない…だからそいつはわからない…
>おいてきぼりにされたように感じた彼は、やがてその集いから離れていく。
>つまり、「仲間の判別」機能。
>通信用語も、コミュニティによって使われるジャーゴンが違いますから
>判別もその分激しいでせう。
>
>…「2ちゃんねる」用語、とか(笑)

うん、あれは本当に独特ですよね。ああいう一つのサイトの中で言語が形成されるというのがとても不思議でした。「スレちがい」は、傑作だと思います。「あげ」なんて、使ってみたいけど、意味がわからない(笑)。

ただ、あそこは狂乱した書き込みが多いのが気味悪くて、とてもいい情報や知識があるにもかかわらず、4〜5回入ったきり、あとは検索語で必要な情報を見つけて訪問するくらいです。