1348   Re^12:アメリカと宮崎監督
2003/05/09 11:27:30  Kotori   (参照数 571)
これは 1346 [Re^11:アメリカと宮崎監督] への返信です

ijustat様、皆様、こんにちは。

>ああ、もしかしたら、アメリカは“連邦制”というけれど、各州はそれぞれが別々の国のようなものなんですね。

そうですね、法律なども州によってずいぶん変わってきます。もちろん、全州に共通の米国憲法も存在しますが、州法をみるとかなりの違いが出てきます。州によっては各自治体に強い権限を置くので、そうすると州内の自治体ごとにさらに法規がかなり違ったりして、例えば、学校制度も場所によって全然違ってきます。学科のなかに美術がない学校とか。私が住んでいる州はすべての公立学校に美術があるので、この州の人から見たら、「美術のない学校が存在するなんて、信じられない!」という感じになります。また例えば、アメリカの中で、地域の人口のほとんどが白人の場所と、逆にほとんどが黒人の場所とでは当然考え方が変わってきますし、裕福な地域、貧困な地域、移民が沢山いる地域、などなど・・さまざまです。

>そういえば、小塩節というドイツ語の先生が、ドイツ暮しから日本へ帰ってきて、子供を日本の小学校へ通わせたそうですが、子供がドイツにいたときと同じように先生に質問したら、そのことで先生から厳しく叱られたために、精神的にひどいショックを受け、学校に行けなくなってしまったという話を、何かで読んだことがあります。

なるほど、ドイツの学校というのはどういう雰囲気なんでしょうね。先生に質問しやすい雰囲気なんでしょうかね、アメリカみたいに。米国の学生は、質問があったら授業中でも積極的に質問しますから、もしもアメリカからの帰国子女が日本の学校でそれと同じ調子で質問したら、授業を妨げているように思われてしまうかもしれません。もしくは、授業のあとで質問に来るように言われてしまうかもしれません。そういう日本で育った私には、最初、アメリカの教室で質問・発言するのはとても気が引けました。

>そうなんですか! 日本に対して、彼らはどんな幻想を抱いているんでしょうね。正義のために命がけで闘うヒーローを見て、日本人はみんなサトシやアトムやその他の少年ヒーローたちのように、勇敢で清々しい人たちだと思っているのでしょうか(^^;)。もしそうだとすれば、彼らの幻滅は相当激しいものになるでしょうね。

外国では、日本の最近の漫画やアニメの人気が高いです。でも、英訳されているものはごくわずかですから、ファンは目に入るものを片っ端から手当たり次第に読みます。彼らは本当に漫画が大好きで大好きで、飢えているんです。少女漫画、少年漫画、アダルト漫画(外国のアニメ・ファンの間で「hentai(変態)」と称されるジャンル)・・・なんでもござれ! という感じです。私がこちらでよく耳にする人気の漫画・アニメは、「るろうに剣心」、「ヒカルの碁」、「ドラゴン・ボールZ」、「遊戯王」、「ガンダム」などで、インターネットでダウンロードして手に入れるそうです。で、男の子であれば、まず日本の女の子を理想化します。清爽で可憐でfragileな日本の女の子というイメージが出来上がっています。日本を漫画天国のように思っている傾向があり、日本には漫画・アニメが溢れていて、どこで漫画を読んでいても(電車のなかなど)変に思われない・・・、と。でも、「いくらなんでもhentai漫画を外で読んでいたら、さすがの日本でも白い目で見られちゃうよ!」と教えたら、本当にすごくがっかりされてしまいました(笑)。外国では、一昔前の日本のごとく、漫画をくだらない・子供っぽいと思っている大人がたくさんいますから、そとで自由に読めるという雰囲気ではありません。私が住んでいる州のレンタル・ビデオ屋やレコード屋では大概、子ども向けのアニメ・セクションと、一般のアニメ・セクションのふたつがあり、ディズニーのアニメーションやトトロなどは子ども向けの場所に置かれています。そのほかのアニメはすべて一般アニメのセクションへ・・・つまり、hentaiアニメも、アクションものもすべていっしょの棚にアルファベット順に並んでいるわけです。しかもhentaiモノの数が多いから、hentaiアニメの中のところどころにに「蛍の墓」や「はだしのゲン」や「銀河鉄道の夜」や「もののけ姫」が置いてあるという感じなんです。(ビデオのカバーを見れば、それがhentaiかどうか絵でわかりますが。)それで、日本の状況を誤解する外国人がいるようです。クロアチアの友人も、同じように誤解していました。現実の日本はそれほど意識が柔軟でも寛容でもないのに・・特に日本人は見知らぬ外国人に冷たいというか疎外しがちだと思うんですが、そういうことを外国のアニメ・ファンは知らないので、日本に来た場合、一体どう思うのか・・・

>アメリカの世界に対するうんざりするようなお節介は、こうしたまわりの人間に対するシンパシーから来ているのではないかとも思ったりしました。

同感です。私も、そのことは、アメリカに来てはじめて気がつきました。アメリカ人には、自分の国が世界一豊かで安定しているんだから、ほかの国々を助けるのが当然だ、という妙な正義感があって、今回の戦争に賛成していたアメリカ人のほとんどが、イラクの人々をフセインから救うため、と信じていました。(そのようにブッシュ大統領が国民に演説しましたし。)逆に、ベトナム戦争の二の舞を踏むことを恐れ、戦争に反対していたアメリカ人もたくさんいました。日本人は第二次世界大戦後、戦争イコールしてはいけないもの として教育を受けてきたと思います。一方、アメリカでは、戦没者や退役軍人をたたえるための祝日や従軍している兵士をたたえるための祝日がありますし、兵士を(正義を守るために戦ってくれている、ということで)英雄視することが多かれ少なかれあります。戦争自体を悪いものとして忌み嫌うという姿勢はあまりないと思います。だから戦争を、「困っている人を助けるために必要だ」と正当化することができさえすれば、アメリカの国民の多くがその戦争を善意から支持するようです。アメリカの外からみれば、それがお節介だとか、まるで世界の警察であるかのごとく振る舞っているとか批判される結果になりますが、そのことにアメリカ自身、あのテロが起こるまで全然気がついていなかったと思います。

>やっぱり直訳じゃないんですね。それは当然なことですよね。韓国映画を直訳した字幕で昔見たことがありますが、日本語がおかしいために意味がぼんやりして、気持が伝わってきませんでした。ひょっとして、Princess Mononokeは科白の訳で失敗したとか……。

そうですね、その可能性は十分あると思います。そうだとしたら、すごく残念ですよね。逆に、Spirited Awayの英語版がよく出来ていて本当によかったと思います。