1336   アメリカと宮崎監督
2003/04/30 2:22:58  ijustat   (参照数 23)

Kotori様、こんにちは。

>インターネットで調べたら、なんでも、もともと宮崎さんは「紅の豚」の舞台をクロアチアのアドリア海にしようとしていたそうなんですが、映画の製作中にクロアチアで内戦が始まってしまい、舞台をイタリアに変えた、という記述がいくつかありましたよ!「紅の豚」の舞台も Dubrovnikだ、としてあるウェブ・サイトをいくつか見かけました。私は映画自体をまだ見ていないので何とも言えません。

そういえば、宮崎監督の「千と千尋の神隠し(Spirited Away)」がアメリカで評判になったという話を、日本語の学生から聞きました。宮崎監督の作品は、日本をはじめとするアジアでは人気が高いのですが、アメリカでは今まであまりパッとしなかったそうです。「もののけ姫」では、日本では15億ウォンの興行収益があったそうですが、アメリカでは300万ドルに留まり、字幕の翻訳代500万ドル(だったかな?)よりも少なかったとか。

私も、「もののけ姫」はあまり面白いと思いませんでしたが、「千と千尋の神隠し」は、素晴らしい作品だと思いました。日本で両作品が一般にどう比較されているのかも気になりますが、アメリカではどう受け取られているのか、ちょっと聞ける人もいないので、もっと気になります。

私の想像では、「もののけ姫」と「千と千尋の神隠し」との評判の大きな差は、アメリカがキリスト教の価値観を持っているからではないかと想像しています。キリスト教的な視角から「もののけ姫」を見ると、“神”と呼んでいる存在が高々全長1キロ程にしかならないドラゴンだというのは、まるで神の“ミニチュア”みたいなのです。それに対して、「千と千尋……」の描く世界は、人間の本質を象徴的に描いているものなで、申し分ありません。

私にそのことを話してくれた学生の考えでは、アメリカ人の情緒は、ディズニーのアニメに見られるように、楽しくて、ハッピーエンドで終わるものを喜ぶのだそうです。「もののけ姫」では、最後に主人公の少年と狼に育てられた少女とが、互いに心引かれながらも結ばれず、それぞれの世界にまた帰って行きますが、日本人や韓国人の心に訴えるこの場面は、アメリカ人には理解できないそうです。それが「もののけ姫」が振るわなかった理由だと分析しています。

これが私の想像よりもずっと説得力のある説明だと思いますが、実際にアメリカに住んでいる人たちに聞くことができないので、ぜひとも「千と千尋……」に関する生の声を、聞いてみたいと思いました。

ちなみに、アメリカの新聞などでは、日本的な建物や風景などが印象的だと強調している場合が多いらしく、一見日本的なものがアメリカでウケけたような印象を受けますが、「もののけ姫」が振るわず、私の愛する「耳をすませば」に至っては顧みられもしないという点では、“日本的”だということは「千と千尋……」がウケけた理由ではなさそうです。

このように、韓国では日本の文化に対してかなり多くの人が関心を持っています。特に、宮崎駿監督のアニメは、根強いファンの層があります。それで、日本の文化を紹介するはずの日本語教師が、日本のアニメや映画、音楽に関しては、学生から教わることが多いのが実情です。インターネットの発達は、ある部分において、日本語教師よりも日本について詳しく知っている学生を生んでいます。学生がインテリだということもありますが、事実の分析も、私のものよりも客観的で優れています。^^;

しかし、いずれにしても、実際に確認できない部分に関しては、想像するしかないので、なぜアメリカで「千と千尋の神隠し」が受けたのか、その辺の“深層分析”を、Kotoriさんからぜひ聞ければと願っています。