1308   蘭学事始(Re^6:うひ山ふみ)
2003/04/08 11:28:38  ijustat   (参照数 27)
これは 1307 [Re^5:うひ山ふみ] への返信です

ゆどうふさんこにちわ!ijustatです。

>をを、「解体ブラザーズ」の一人ですよね。
>この人たち、辞書もほとんどなかったのにタートルアナヘミア訳したすごい人たちですよね。
>なんでも、「まつげ」だか「まゆげ」だかの説明の文章を訳すのに一日か二日かかったとか…
>そういう逸話を聞いたことがあります。
>その方の作品、さぞ外国語に対して燃えておられるんでせうね^^

本当にそうだなあと思います。本人は医学の発展が最大の関心事なのだけれど、テーマがオランダ語に絞られているので、外国語学習に志ある人にとっては、心を奮い立たせてくれる本です。

ところで、おととい「青空文庫」で菊池寛の「蘭学事始」を読みました。これは、件の「蘭学事始」の一番面白い部分を特にクローズアップして、半ば引用、半ばリライト、半ば想像を加え、感動的な物語に仕上げたものです。

しかし、決していい加減に色付けしたのではなく、菊池寛もやはり、杉田玄白の「蘭学事始」を“面白い”と思って相当深く読み込んだようです。その雰囲気は十分に生きています。「蘭学事始」を読んでいる人には、菊池寛の想像した部分が、ああ、そういうことも十分にありうるなあ、と思わせる、とても自然な想像なのです。多分この短編小説は、「蘭学事始」の愛読者向けに書かれたのではないかと思うほどです。

一方、岩波文庫の本物の方の「蘭学事始」は、原文の後ろにそれにも勝る量の注が付いているのですが、この注が出色です。というのは、杉田玄白が50年昔のことを回想しながら、ある部分は事実関係に混乱があったり、ある部分は誤解に基づいていたり、またある部分は記憶に自信がなかったりする部分などを、当時の他の記録などから考証し、当時の状況の正確な把握を助けているのです。

この注を読みながら、50年という気の遠くなるような(?)昔のことを、ここまで正確に覚えている杉田玄白翁の記憶力に驚嘆します。漫然と生きたのではなく、本当に濃い生き方をしていたのだと思います。

>書名自体は…Selbstbiographieというものらしいですね。
>で、次のBis zu seinem Tode vervollstaendigtは、「彼の死までの、完全版」といったところでせうか。
>たぶん英語だとズバリan autobiographyとかだと思います。

ああ、そういう意味なんですか。ありがとうございます。「古代への情熱」というのは、日本語訳でつけられた名前なんですね。韓国の人名辞典でも、この本は「古代への情熱」というタイトルで出ていますが、実際に韓国の書店に出ている本の名前は、訳せば「トロイの復活」です。ネクサスという出版社から出されています。この出版社、数年前からかなりがんばって、何冊もの本をヒットさせています。

>で、訳すの挑戦してみませうかね(笑)

ええ、ぜひぜひ!

>>では、チュルゴウン シガン デセヨ(jeul-geo-un si-gan doe-se-yo)。

>を、これも調べないと(笑)

あ、失礼。これは、直訳すると「楽しい時間になって下さい」という意味です。90年代の半ば頃から盛んに使われるようになったような気がします。それまでは聞いたことがありませんでした。最近はすっかり定着した観があります。