1190   シュリーマンの悲恋
2002/09/18 23:02:06  ijustat   (参照数 29)

>…をを、なるほど!そんなラヴが隠されていたとわ!
>彼の勉強法はそんな状況によって生まれたのですね
>で、それをさらに後年になって活用する、と…
>なんか、「必要は発明の母」を地でいっている感じがして面白いですね^^

そうですね。本当にシュリーマンは「必要は発明の母」を地で行ったような人だったんですね。でも、そのラヴは、悲しい結末を迎えるのです。しばらく、シュリーマン自身の肉声を聞いてみましょう。

……そのために私はまったく独立の状態となると、ただちに私はさきに述べたマインケ家の友人ノイシュトレーリッツのC・Eラウエに手紙をかいて、私のすべての経歴をのべ、私の名によってすぐにミナに結婚を申し込むことを依頼した。しかし一か月後に、彼女は数日前に他の人と結婚したという返事を受け取った時の、私の驚きはいかに大きかったであろう。この落胆は私が会うかもしれないあらゆる運命のうちで、もっともたえ難いものだと当時は思えた。私はとうていいかなる仕事にも手をつける気になれず、病床についた。……
(『古代への情熱』岩波文庫、29ページ)

シュリーマンが必死になって外国語を身につけた理由が、このとき瓦解したのです。それは、シュリーマンが22歳頃のことです。

ところで、今日は私は韓国語の先生に、正統的でない日本語の学習方法を一生懸命語りました。韓国語教育の専門家を前にして、きちんとした学習手順を踏まない勉強方法をしゃべったのです。

ある韓国語の先生が、いずれ自分の勉強のために日本語を勉強したいのだが、日本語の勉強は難しいと言ったことが発端でした。それで私は、日本語は、動詞変化と形容詞の変化を大体頭に入れたら、あとは『日本語ジャーナル』の韓国版のように、日本語に読みがなが振ってあって対訳になっている本を使って、韓国語訳を見ながら日本語を理解していき、原文復元法で覚えればいいと話しました。その先生は、にわかには信じがたいという表情で、私の話を聞いていました。

その先生は、日本語を読めるようになりたいというので、それにいちばん相応しい方法として、この話をしたのです。それで、発音はどうせ読解が目的なのだから、自己流でかまわないと言いました。

実は、今日入管へビザの延長手続きに行ったのですが、そこでも私は担当官から似たような質問をされ、まったく同じことを言いました。おそらくその質問は、届け出しないで経済活動をしていないかどうかを探るための誘導尋問なのではないかと思いましたが、でも本当に日本語が上手になりたいと思っているかもしれないので、対訳を使って勉強するといいですよと言いながら、具体的な手順を説明しました。その担当官もやはり、韓国語の先生と同じく、信じられないという表情をしていたので、思わず説明に熱が入ってしまいました。変な日本人だと思われたに違いありません。学校で教えている人間が、学校へ来いと言わずに、独学の方法を一生懸命説明したのですから。