1099   外来語の乱用
2002/06/27 8:51:09  ijustat   (参照数 18)
ゆどうふさま、こんにちは。ijustatです。

>危うくコンピュータ壊しかけたゆどうふです。

何か大変なことがあったんですね。でも、コンピュータは壊れなかったようで、幸いですね。

>ところで、今日のニュースによると川口ヨリちゃん文部科学省大臣が
>外国語の無秩序な流入を防ぐための委員会を作るそうです。
>フランスにもそういうのがあるそうですね。
>それっていいのか?それって正しいのか?
>ちょっと考えちゃいます。

いいか悪いかは、たしかに後になってみないとわかりませんよね。外来語の使用には、いい面と悪い面の両方がありますから。

悪い面といえば、最近のローンワードのエクセッシブなユーズですが、これはコミュニケーションにプロブレムとなっていましたから、そのトレンドをストップさせるのは、ミーニングフルなアクションだと思います。

日本語の外来語の流用が問題になるのは、単語の臨時的な使用が増え、ものの名前に対する豊かな知識を失ってしまうこと、論理的に正確な理解に障害になることなどがあるようです。特に、前者に関しては『教養としての言語学』(鈴木孝夫、岩波新書)の最後の章で簡単に論じられています。

私の考えも、外来語の無秩序な流用は、その後の日本語の再編成に大きな時間と力を浪費させるので、良くないと考えています。固有語と、すでに日本語に編入された漢字語は、それぞれの形態素が他の語と結びついて、初めて聞いた単語もその意味を理解しやすく、しかも、深い理解へ導いてくれます。しかし、一般人にとって形態分析の困難な外来語が乱用されると、それぞれの語の理解は、その元になる言語の知識がある人とない人とで、大きな較差が出てくると思います。それは、統一の取れた世界観を得るのに障害になると思います。

この問題は、フランス語のように、昔はラテン語から、今は英語から身を護ろうとしている言語とは、事情が違うと思います。フランス語にとって、ラテン語も英語も同じ系統の言語なのですから。フランス人が「明晰、明晰!」と叫んでも、ラテン語や英語はフランス語の明晰性を大して損なわないと思います。しかし、日本語にとって系統のまったく違う英語やその他西洋語の大量使用は、ただでさえ明晰な表現を軽んじてきた日本語を、さらに曖昧模糊としたものにするのではないかと危惧しています。

バラをローズと言い替えただけでは、そういう問題は起こらないでしょうが、それが日本語のさまざまな分野に拡散していくと、徐々に問題は深刻になっていくと思います。

いい面としては、たとえば「チェックする」のような単語ですが、従来色々な漢字語で状況によって使い分けなければならなかった語を統合できたのは、私は歓迎しています。それと、日本にない文化事象の名称(キムチ、ソッロンタン、カルビタンなど)や、日本にもともとない植物の名前(バジリコ、アボカドなど)は、無理に訳さずにそのまま使うのが、健全なやり方だと思います。

まあ、いちどは乱用してみて、良いものを残し、たくさんの屑はごっそり捨てるというやり方がいいのかもしれません。そういうことを考えてみると、今まで外来語をあれこれ使ってきたのは試験期間で、今後それに歯止めをかける委員会を作ったのは、いよいよ整理する時期に来たということかもしれません。

ただ、この委員会は、「官庁の公用文書や社会一般での外来語・外国語の乱用に歯止めをかけ、『伝統的な美しい日本語』を維持するための、有識者による委員会」なのだそうで、“美しい”ことを官庁の公用文書にも求めているとすれば、すごいことを考えていますね。芸術的な香りが豊かで、しっとりとした美しい公用文書というものを、読んでみたいものです。

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